生命保険金と相続税の関係を理解しよう!

「相続税対策に生命保険を活用できる」という話を耳にしたことがあるのでないでしょうか。今回は、生命保険と相続税の関係を中心にご紹介します。

 

【目次】

1.生命保険金と税金の関係

2.生命保険金と相続税
(1)死亡保険金はみなし相続財産になる
(2)死亡保険金には、非課税の枠がある
(3)相続税の対象になる保険金の計算例

3.生命保険の特徴
(1)受取人をあらかじめ決められる
(2)遺産分割協議の対象外である
(3)納税資金の確保に有効
(4)遺留分の原資となる
(5)相続放棄との関係

4.まとめ

 


 

1.生命保険金と税金の関係

次の表をご覧ください。

被保険者 保険契約者 保険料負担者 保険金受取人 課税関係
被相続人 被相続人 被相続人 配偶者 相続税
被相続人 配偶者 配偶者 配偶者 所得税
被相続人 配偶者 配偶者 贈与税

 

①被保険者と保険料負担者が「被相続人」のケースです。配偶者が受け取る死亡保険金は「相続税」の対象となります。
②保険料負担者と保険金受取人が「配偶者」のケースです。配偶者が受け取る死亡保険金は「所得税」の対象となります。
③被保険者と保険料負担者と保険金受取人がすべて異なるケースです。が受け取る死亡保険金は「贈与税」の対象となります。

このように、生命保険金は契約の形態で課税関係が変わってきます。今回は①を中心にご説明していきたいと思います。

(参考)
国税庁 タックスアンサー No.1750 死亡保険金を受け取ったとき

 

2.生命保険金と相続税

(1)死亡保険金はみなし相続財産になる

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものについては、相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の対象となります。

この死亡保険金は、被相続人が生前に所有していた財産ではありませんが、亡くなったことが原因で支払われることになった財産(お金)です。したがって、民法上の相続財産ではありませんが、相続で取得したものと実質的に効果が同じであるため、相続税法ではみなし相続財産として相続税の対象としています。

 

(2)死亡保険金には、非課税の枠がある

上記のように、死亡保険金は相続税の対象になりますが、遺族の生活維持の観点から非課税になる部分があります。生命保険金の非課税枠と呼ばれています。

(非課税の算式)
生命保険金の非課税限度額500万円×法定相続人の数

「法定相続人の数」は、民法の規定による相続人の数をベースに、相続税法独自の考え方を取り入れて求めます。
①相続の放棄があった場合には、その放棄はなかったものとする。
②養子がいる場合には、一定の人数制限がある。

注意点として、非課税が適用されるのは、相続人が保険金を取得した場合に限られます。相続人以外の人が死亡保険金を受け取ったり、相続放棄し相続人でなくなったりした場合は受けることができません。

※「法定相続人の数」を使う規定について(基礎控除額)
【コラム】相続税の申告は必要?不要?判断のポイントについて

 

(3)相続税の対象になる保険金の計算例

死亡保険金を受け取った場合、相続税の計算はどうなるでしょうか。例を見てみましょう。

(例)夫が死亡した。
・契約の形態:被保険者=夫 保険契約者=夫 保険料負担者=夫 保険金受取人=妻
・相続人:妻、子A、子B、子Cの計4人
・死亡保険金:3,000万円

①死亡保険金 3,000万円
②非課税金額 500万円 × 法定相続人4人 = 2,000万円
③課税対象  ① - ② =1,000万円

このように、妻が受け取った保険金3,000万円のうち、1,000万円のみが相続税の対象となります。

例えば、現金3,000万円を持ったまま相続を迎えるより、保険金として受け取った方が相続税の対象は減ることになります。このような仕組みから、生命保険を活用した節税が行われています。

(参考)

国税庁 タックスアンサー No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金

 

3.生命保険の特徴

生命保険の特徴をご紹介します。

(1)受取人をあらかじめ決められる

生命保険は、保険金の受取人をあらかじめ決めることができます。相続人に限らず、相続人以外の人も可能です。受取人に確実に現金を渡すことができるのはメリットです。

(2)遺産分割協議の対象外である

死亡保険金は、受取人の固有財産になり、遺産分割協議の対象に原則なりません。

(3)納税資金の確保に有効

財産が不動産しかないようなケースだと、相続税を支払うために不動産を売却して資金を準備することがあります。保険金で備えておくことにより、不動産を手放すことなく納税資金を確保できるようになります。

(4)遺留分の原資となる

遺言書を作成した場合における「遺留分対策」に生命保険金を活用することがあります。遺言により財産を渡したい人を生命保険金の受取人にもしておき、遺留分を主張された場合には、受け取った生命保険金を遺留分の支払にあてるような方法です。

(5)相続放棄との関係

●相続放棄をしても生命保険金を受け取れる場合
・特定の相続人が受取人に指定されている
・受取人が単に「相続人」となっている
⇒保険金は相続人の固有財産になるため、相続財産には該当しません。そのため相続放棄の対象になりません。

●相続放棄すると生命保険金が受け取れない場合
・保険金受取人が「被相続人」となっている。

⇒保険金受取人が既にいないので、保険金は「保険金を受け取る権利」という相続財産になります。相続放棄をすると「保険金を受け取る権利」が無くなります。

 

4.まとめ

今回は生命保険金と相続税の関係についてご説明しました。生命保険は、節税効果のみならず、残された家族に確実に現金が渡ることがメリットです。

もし、若い頃に契約した保険をそのままにしているケースには、ご注意ください。保険金受取人が既にいないケースや、受取人が自分自身のままになっていると不利益を被る可能性があります。定期的に保険契約を確認してみましょう。

 

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●関連法令
・相続税法第3条
・相続税法第5条
・相続税法第12条
・相続税法第15条
・所得税法第34条